
ねえくろさん、
ジャズに合うコントラバスの弦って
ありますか?

ありますよ。
コントラバスの弦には
クラシック向きと、ジャズ向きの
弦があります。

おすすめ教えてもらえますか?

わかりました。

プロのジャズベーシストが使用している
弦も紹介するので、
合わせて参考にしてください。

よろしくです。
- ジャズの演奏用のコントラバス弦の選び方について
- プロのジャズベーシストが使用しているコントラバス弦の紹介
- ジャズの演奏におすすめのコントラバス弦の紹介
- ジャズの演奏におすすめのコントラバス弦/ピラストロ/オリジナルフラットクロム
- ジャズの演奏におすすめのコントラバス弦/ピラストロ/オリジナルフレクソコア
- ジャズの演奏におすすめのコントラバス弦/ピラストロ/オブリガート
- ジャズの演奏におすすめのコントラバス弦/ダダリオ/ヘリコアオーケストラ
- ジャズの演奏におすすめのコントラバス弦/トマスティーク/ベルカント
- ジャズの演奏におすすめのコントラバス弦/トマスティーク/スピロコア
- ジャズの演奏におすすめのコントラバス弦/ピラストロ/エヴァ・ピラッツィ
- ジャズの演奏におすすめのコントラバス弦/ピラストロ/コルダ
- ジャズの演奏におすすめのコントラバス弦/ピラストロ/オイドクサ
- ジャズの演奏におすすめのコントラバス弦⑨ピラストロ/オリーブ
- まとめ
ジャズの演奏用のコントラバス弦の選び方について
コントラバスの弦は種類が多く、音色や弾き心地も様々です。
本当なら色々な弦を試して、自分にあった弦を見つけることができればいいのですが、コントラバスの弦は値段も高く、気軽に試すことは難しいです。
弦を選ぶときは、「弦の素材」と「メーカー」から、ある程度音色と弾き心地、弦の寿命を推測することができます。
コントラバスの弦はガット、スティール、ナイロンの3種類がありますが、それぞれの特徴は以下の通りです。
素材 | 値段 | 音量 | 音色 | 寿命 |
ガット | 高い | やや小さい | とても良い | 長い |
スティール | てごろ | 大きい | 良い | 1年くらい |
ナイロン | てごろ | 普通 | 良い | 半年から1年 |
また、コントラバス弦を作っている主要メーカーは、ピラストロ、トマスティーク、ダダリオがあります。
各メーカーの特徴は以下の通りです。
ピラストロ :ドイツの老舗、高品質、価格やや高め、音良い。
トマスティーク :オーストリアのメーカー、ジャズ、ポップス向き、値段手頃
ダダリオ :アメリカの弦メーカー、値段手頃、全体的に寿命短い。
この、素材とメーカーの二つの特徴を組み合わせて考えてみると、好みに合ったものを探しやすいと思います。
ジャズのベースのサウンドは大きく分けると、
・アンプリファイされた電気的なサウンド
・生音に近いサウンド
のふたつに分けられます。
最近はコンテンポラリー系のサウンドが人気で、生音に近いサウンドが好まれています。
ベースアンプやピックアップの性能も良くなり、アンプを通しても生音に近いサウンドが作りやすくなりました。
アンプとピックアップについては、以下の記事も参考にしてください。
サウンドは弦によっても大きく左右されます。
トマスティークのスピロコアや、ダダリオのヘリコアなど、テンションが柔らかい弦は早いフレーズやベースラインが弾きやすいのですが、サスティーンが長く、アンプリファイされた電気的、金属的なサウンドになりやすいです。
一方、ピラストロのフラットクロムオリジナルのようなテンションが強めのクラシック向きの弦や、ガット弦、ナイロン弦などのフェイクガット弦は減衰が自然で、アンプに通した時に生音に近いサウンドを作りやすいです。
プロのジャズベーシストが使用しているコントラバス弦の紹介
ここから、プロのジャズベーシストが使用している(または過去に使用していた)コントラバスの弦を紹介します。
プレーンガット(メーカー不明)
<使用ミュージシャン>
・パーシー・ヒース
・ポール・チェンバース
・チャールス・ミンガス
・オスカー・ペティフォード
・ダグ・ワトキンス
・ウィルバー・ウエア
・ジミー・ブラントン
・レイ・ブラウン
・サム・ジョーンズ
etc…
20世紀も半ば近くまではスチール弦やナイロン弦は使われず、コントラバスの弦と言えばプレーンガットのみでした。そのサウンドの素晴らしさは、彼らが残した録音から伺うことができます。
現代においても、多くのベーシストがガット弦に憧れ、また好んで愛用しています。
トマスティーク/スピロコア(ミドルゲージ)
<使用ミュージシャン>
・クリスチャン・マクブライト
・ブライアン・ブロンバーグ
・デイブ・ホランド
・リチャード・デイビス
・マーク・ジョンソン
・エディ・ゴメス
・ゲイリー・ピーコック
・スタンリー・クラーク
そうそうたるジャズベーシストが名を連ねていますね。
スピロコアは値段が手頃で、ジャズやポップスで人気がある超定番の弦です。
サウンドは明るく、抜けが良いですが、やや金属的なクセのある音色です。
トマスティーク/スピロコア(ライトゲージ)
<使用ミュージシャン>
レイ・ブラウン(晩年)
アヴィシャイ・コーエン
こちらもジャズでは定番の弦です。
細いゲージなのでテンションが弱く、速いパッセージが弾きやすいです。
スピロコアには、さらにテンションが弱いソロ弦もあり、そちらもよくジャズで使われます。
ダダリオ/ヘリコア
<使用ミュージシャン>
・クリスチャン・マクブライド(初期)
・ジョン・パティトゥイッチ(初期)
・ゲイリー・カー(クラシックの巨匠)
・ジョン・ベンテス
明るくクリアな音色で、テンションも柔らかく、ソロも弾きやすい弦です。
値段は手頃ですが、長く使うと巻線がほつれたり、ちょっと寿命が短いです。
ダダリオ/ザイエックス
<使用ミュージシャン>
・ベン・ウィリアムス
シンセティック素材を芯線に使ったナイロン弦で、クリアで倍音豊か、力強い音色が特徴です。
弓弾きとピチカートのどちらでもガット弦に近いサウンドが得られます。
ジャズ、クラシックどちらでも使えます。
ピラストロ/エヴァ・ピラッツィ
<使用ミュージシャン>
・ロバート・ハースト
上品で深い音色のナイロン弦です。
アルコ、ピチカート共に反応が早く、芯のある柔らかいサウンドはクラシック、ジャズどちらも使いやすいです。
ラベラ/#7710 ブラックナイロン
<使用ミュージシャン>
ロン・カーター
ナット・リーブス
バスター・ウィリアムス
ロンカーターが使用していることで有名になった弦です。
ロープコアにナイロンテープを貼るという独自の構造で、サウンドもかなり特徴的です。
ジャズのピチカートはいいですが、アルコは向いていないです。
ロンカーターのサウンドが好きな方にオススメです。
ピラストロ/コルダ(プレーンガット)
<使用ミュージシャン>
・ニール・カイン
・ベン・ウルフ
・カルロス・ヘンリクアーズ(リンカーンセンター・ジャズ・オーケストラ)
バロック音楽用に開発されたプレーンガット弦です。
かつてスコット・ラファロや、チャーリー・ヘイデンが使用していたゴールデンスパイラルというガット弦に音色や特徴が似ているため、コンテンポラリー系のジャズベーシストに人気が高いガット弦です。
ピラストロ/エヴァピラッツィ(AとE)+ピラストロ/オリーブ(GとD)
<使用ミュージシャン>
・ジョン・クレイトン
・チャックイスラエルズ
・ジョン・パティトゥッチ
エヴァピラッツィの下の2弦(AとE)は発音が良く、かつテンションがガットに近いので、上の2本をガット弦にしてそれと組み合わせると、とてもいい感じにマッチします。
この組み合わせは、ガット弦の中でも最高級のオリーブと組み合わせていて、サウンドと実用性を兼ね備えた最高のセットだと言えるでしょう。
ゴールデン・スパイラル(ガット弦)
<使用ミュージシャン>
・スコット・ラファロ
・チャーリー・ヘイデン(生産中止になったとき、世界中の在庫を買い漁った)
多くのジャズミュージシャンが愛用していたガット弦のひとつです。
現在は生産中止となり、入手は困難。
現在販売中のものだとピラストロのコルダが近いようです。
チャーリー・ヘイデンはこの弦が生産中止になったとき、世界中の在庫を買い漁ったそうです。
ピラストロ/オブリガート
<使用ミュージシャン>
・フィル・パロンピ(NY在住)
定番のナイロン弦です。
ガットに近い、上品な音色で弓でもピチカートでも使いやすいです。
ベルベット/ガルボ
<使用ミュージシャン>
・ラリー・グレナディア
シルクを芯線とした弦で、ガットに近い音色です。
ジャズミュージシャンに人気が高いですが、
現在弦を生産するための機械が故障していて、入手が困難です。
ベルベット/アニマ
<使用ミュージシャン>
・ルーファス・リード
シルクを芯線とした弦で、ガットに近い音色です。
同メーカーのガルボよりやや細く、音色は明るくてサスティーンも長めです。
現在弦を生産するための機械が故障していて、入手が困難です。
ベルベット/ブルー(フェイクガット)
<使用ミュージシャン>
・ラリー・グラナディア
ベルベットの初のシルクを用いないシンセティック弦です。
現在弦を生産するための機械が故障していて、入手が困難です。
ジャズの演奏におすすめのコントラバス弦の紹介
それではここからジャズの演奏におすすめのコントラバス弦を紹介します。
ジャズの演奏におすすめのコントラバス弦/ピラストロ/オリジナルフラットクロム
ピラストロの定番のスティール弦で、重厚で甘い音色が特徴です。
アルコ、ピチカート共に反応が早く、低音がよく出ます。
アンプに通した時のサウンドが生音に近く、強いビートが出ます。
値段がちょっと高いですが、寿命が長く、長く使っても巻線がほつれたりしないので大事に使えばコストパフォーマンスも高いです。
テンションが強めですが、反応が良く、弾き心地も良いので早いソロも比較的楽に弾けます。
ジャズの演奏におすすめのコントラバス弦/ピラストロ/オリジナルフレクソコア
定番のスティール弦で、甘くて重厚な音色が特徴です。
アルコ、ピチカート共に低音がしっかり出て、重厚で力強いサウンドが心地よいです。アンプに通して弾くと低音が良く出て、生音に近い音色を得ることができます。
上で紹介したオリジナルフラットクロムにサウンドのキャラクターが似ていますが、こちらの方が明るい音色です。
暗い音色が好みの方はオリジナルフラットクロム、明るい音色が好きな方はオリジナルフレクソコアがおすすめです。
ジャズの演奏におすすめのコントラバス弦/ピラストロ/オブリガート
ピラストロの定番のナイロン弦です。
ガット弦のような上品な音色で、テンションが柔らかく、早いフレーズも弾きやすいです。
アルコでもピチカートでも反応が早く、ジャズ、クラシックのジャンル問わずに使えます。
値段は安いですが寿命が短く、古くなると硬く、弾きにくくなります。
ナイロン弦を試してみたい方におすすめです。
ジャズの演奏におすすめのコントラバス弦/ダダリオ/ヘリコアオーケストラ
スチール弦の定番の弦です。
明るくクリアな音色で、全音域でバランス良く鳴ります。
サスティーンはやや長めです。
テンションが柔らかく、早いフレーズが弾きやすい。ビルエバンス系ピアノトリオのサウンドによく合います。
価格は安いのですが、寿命が多少短く、古くなると巻線がほつれてきます。
ジャズの演奏におすすめのコントラバス弦/トマスティーク/ベルカント
ベルカントはしっとりと落ち着いた、暖かい音色が特徴のスチール弦です。スピロコアに音の傾向が似ていますが、ベルカントの方がフラットで落ち着いた音色です。
弾き心地が軽く、ソロもラインも楽に弾くことができます。
ジャズの演奏におすすめのコントラバス弦/トマスティーク/スピロコア
スピロコアはジャズによく使われるスチール弦です。
明るい音色でサスティーンが長く、レスポンスが早いのが特徴です。
新品のときは少しギラギラした音色で、少し経つと落ち着いた温かみのある音色になります。
ジャズ系の定番ではありますが、アンプに通した時70〜80年代くらいのちょっと古い音色になります。
ジャズの演奏におすすめのコントラバス弦/ピラストロ/エヴァ・ピラッツィ
ピラストロ社製のシンセティック(ナイロン)弦です。
ジャズミュージシャンの愛用者も多く、ジャズでもクラシックでも使えます。
上ガットに近い音色は上品で、弾き心地も軽く、ソロも楽に弾けるし、弓を使っても倍音の多い豊かな響きを得ることができます。
エヴァ・ピラッツィは、下のE線とA線だけを使って、上にガット弦を張るという使い方にもよく用いられます。
ジョン・パティトゥイッチや、ジョン・クレイトン、チャック・イスラエルは、上の二本をガット弦のオリーブ、下の二本をエヴァ・ピラッツィにしているそうです。
また、エヴァ・ピラッツィ・スラップという、ロカビリーなどのスラップに特化したセットもありますが、普通にピチカートで弾いてもテンションが柔らかく、1弦から4弦までバランス良く鳴る弦です。
特筆すべき点として、この弦のセットは1、2弦をプレーンガットと、シンセティク弦(ナイロン弦)から選ぶことができます。シンセティク弦の3、4弦はプレーンガットの1、2弦とのバランスが良いです。
3、4弦はガットにすると太すぎて発音が鈍くなり、楽器によっては駒とナットの加工が必要になるのですが、この弦ならバランス良くガット弦を使うことができます。プレーンガットではありますが、価格も手頃で、ガット弦の入門としてもオススメです。
ジャズの演奏におすすめのコントラバス弦/ピラストロ/コルダ
バロック音楽用に開発されたガット弦で、1、2弦がプレーンガット、3、4弦がガットにシルバーの巻弦です。
かつてスコット・ラファロや、チャーリー・ヘイデンが使用していたゴールデンスパイラルというガット弦に音色や特徴が似ているため、コンテンポラリー系のジャズベーシストに人気があり、有名ベーシストも多く使用しています。
下のA線とE線はスティール弦と比べてかなり太いので、上の2本だけをコルダにして、下の2本はエヴァピラッツィなどの、ガットと相性の良いナイロン弦にして使用するのもありです。
ポールチェンバースや、レイブラウンのようなゴリゴリしたサウンドが欲しいかたはぜひ一度お試しください。
ジャズの演奏におすすめのコントラバス弦/ピラストロ/オイドクサ
ピラストロの巻線のガット弦です。
柔らかくてしっとりとした、上品な音色が特徴です。
ガット弦はクラシックで使っても良いですが、ジャズ系のピチカートのサウンドも極上で、アンプを通しても生音に近い音色が得られます。
ピラストロ社製のオリーブと比べると細く、弾き心地も軽いので、ガット弦で早いソロやベースラインを弾きたい方にオススメです。
値段が高いのがネックですが、寿命はかなり長く、切れなければ5年以上使うことができるし、しかもその音色は時間が経過するほどに良くなっていきます。
1年くらいで劣化するスチール弦やナイロン弦に比べても、コストパフォーマンスは決して悪くはないと思います。
ジャズの演奏におすすめのコントラバス弦⑨ピラストロ/オリーブ
こちらもピラストロ社製の巻線のガット弦です。
ガット弦特有の深くて上品な音色が特徴です。しかも、オリーブは使用しているガットの量が多く、オイドクサに比べても音量が大きく、テンションが強めなのが特徴です。
ガット弦は下の2本は発音が鈍く、弦の太さが合わない時は楽器を加工する必要もあるので上のG線とD線だけをガットにして、下のA線とE線はエヴァ・ピラッツィなどテンションの近いものと組み合わせて使う方法があります。価格も抑えられるし、サウンドのバランスも良いのでオススメです。
まとめ
今回はジャズにおすすめのコントラバスの弦を紹介しました。
ちょっと前は、ジャズといえばみんなスピロコアを使っていましたが、
いろいろな弦があるし、ネットで買えば安くいろいろな種類の弦を手に入れることができます。
気になる弦があれば、ぜひお試しいただければと思います。
今回の記事、参考にしてもらえたら嬉しいです。
それでは、また。
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