
コントラバスの弦って種類が多くてどれを選べばいいのかわからないんですよ。

素材もいろいろありますよね。

どうやって選べばいいですか?

それぞれの弦に特徴があるので、音の好みや演奏するジャンルに合わせて選ぶと良いと思います。

なるほど。

コントラバスはクラシック以外のジャンルで使われるので、ジャンルごとに特化した弦もあります。

ジャズ用とか?

そうですね。
大まかにはクラシック用と、ジャズやポップスなど用の2つに分けられます。

クラシックとジャズ、両方弾く人はどうしたらいいですか?

どちらに使っても良い音の弦もあるのでそちらがおすすめです。

なるほど。詳しく教えてもらえますか。

わかりました。
ここからそれぞれの弦の特徴を紹介していきます。

よろしくです!
- Thomastik / SPIROCORE
- Thomastik / Belcanto
- Thomastik / DOMINANT
- Thomastik/SUPERFLEXIBLE
- D’Addario / Helicore Orchestra
- D’Addario / Helicore Hybrid
- D’Addario / Helicore Pizzicato
- D’Addario / Prelude
- D’Addario / Zyex
- D’Addario / Kaplan
- Pirastro / Chromcor
- Pirastro / Obligato
- Pirastro / Jazzer
- Pirastro / Permanent
- Pirastro / Eva Pirazzi
- Pirastro / Flexocor
- Pirastro / Original Flexocor
- Pirastro / Flexocor Deluxe
- Pirastro / Flat-Chromesteel
- Pirastro / Original Flat-Chromesteel
- Pirastro / Passione
- Pirastro / Oliv
- Pirastro / Eudoxa
- Pirastro / Chorda
- JARGAR
- LA BELLA / 7710N Black Nylon Tape Wound
- LA BELLA / 7710T White Nylon Tape Wound
コントラバス弦の素材のそれぞれの特徴
コントラバスの弦の素材には、スティール弦、ナイロン弦、ガット弦の3種類があり、それぞれ違った特徴があります。ここから各素材の特徴を紹介していきます。
ガット弦
ガット弦は羊の腸の繊維から作られる弦で、深みのある上品な音色が魅力です。
弦のテンションが柔らかく、軽い力で響くので演奏性も抜群に良いです。
音色も弾き心地も最高のガット弦ですが、気候や気温にコンディションを左右されやすいため、保管や演奏場所に気を使う必要があります。
ガット弦は他の素材の弦と比べると高価(セットで6万〜10万円くらい!)ですが、切れるまでその音色の良さを持続するのでトータルで考えるとコスパは悪くないかもしれません。チェリストのカザルスは演奏中に切れた弦を結んで使っていたそうです。
金属を巻いていないガット弦はプレーンガットと呼ばれ、安価なものもありますがy、弾いた後の手がソーセージのような匂いになります。弦の表面の抵抗が強く、スライドしにくいのでベビーパウダーをつけて弾くと弾きやすくなります。
ガット弦はソロからオーケストラ、ジャズなど全てのコントラバス奏者におすすめの弦ですが、コンディションが変化しやすいのでこまめな手入れと、適切な環境での保管が必要になります。
ナイロン弦
ナイロン弦はガット弦の代替え品として開発された弦で、柔らかく深みのある音色が特徴です。
ガット弦に近い音色ですが、ナイロン弦の方があっさりした音色です。
弾き心地もスティール弦と比べると柔らかく、レスポンスが早くて弾きやすいです。チューニングも2、3日すると安定するので扱いやすいです。
スティール弦やガット弦に比べると寿命が短い(3ヶ月〜半年くらい)のがネックですが、ガット弦の半額以下で購入できるので、ガット弦を使いたいけど高くて手が出せないという方にお勧めです。
スティール弦
スティール弦はコア材に金属を使って作られた弦です。
音色は明るく、低音から高音まで良く鳴り、音量が大きいのが特徴です。
素材の中では一番チューニングが安定しやすく、温度や湿度にあまり影響を受けないので扱いやすいです。
新しい時は柔らかく、弾き心地も良いですが古くなってくると弦が硬く感じられ、弾きにくくなります。弦が硬く感じられたら交換時期です。
弦の寿命は種類によって違いますが、メーカーの中ではピラストロの物が長い期間音色の劣化もなく、いちばん寿命が長いです。
気候に左右されない安定したコンディションを求めるのであれば、スティール弦がおすすめです。
また、音量がいちばん出るのでオーケストラや奏楽で演奏する方にもおすすめです。
コントラバス弦を選ぶポイント
コントラバスの弦は種類によって音色や弾き心地がだいぶ違うので、自分が演奏するジャンルや出したい音を明確にイメージして選ぶ必要があります。
メーカーでいうと、
クラシック系 : ピラストロ
ジャズ、ポップス:トマスティーク、ダダリオ
がそれぞれ向いています。
しかし、ジャズ系でアンプを使った時に生音に近いサウンドを目指すのであればピラストロのフラットクロムやフレクソコアなどの低音がしっかり出る、音が重い弦がおすすめです。音の減衰が自然で、アンプから出る音も生音に近くなります。
クラシックとジャズの両方を演奏する場合も、ピラストロのフラットクロムやフレクソコアなどの弦がお勧めです。トマスティークやダダリオの弦は多少重厚さにかけるので、オーケストラなどで演奏する時物足りなく感じるかもしれません。
オブリガートなどのナイロン弦もジャンル問わず使えますが、寿命が短い物が多く、こまめに交換することが前提になります。
ガット弦もオールジャンル使える素晴らしいサウンドですが、価格が高いことがネックになります。
ただし、先に述べた通り、ガット弦は5年くらい(あるいはそれ以上)良い音色を持続するので長い目で見ればお得であるとも言えます。
結論として、個人的にお勧めなのはピラストロのフラットクロムか、フレクソコア(どちらもオリジナルの方が良い)です。どちらも寿命が長く、良い音で、どんなジャンルのサウンドにもマッチします。
各メーカーの各種コントラバス弦の特徴

それではここから各メーカーのいろいろな弦の特徴を紹介していきます。
Thomastik / SPIROCORE
スピロコアはトーマスティック社製のスティール弦です。
明るい音色でレスポンスが早く、サスティーンが長め、ジャズやポップスのサウンドによく合います。
張り立てのときの音色は少しギラっとしていますが、少し経つと落ち着いた温かみのある良い音色になります。テンションが柔らかく、ピチカートが弾きやすいです。
Thomastik / Belcanto
ベルカントはトーマスティック社製のスティール弦で、深みのある暖かい音色が特徴です。
スピロコアに似ていますが、ベルカントの方が落ち着いた響きです。
弓で弾いたときの反応が早く、クラシックとジャズ、どちらで使ってもいい感じです。
Thomastik / DOMINANT
ドミナントはトマスティーク社製のナイロン弦で、ガット弦のような柔らかい弾き心地と、豊かで深みのある音色が特徴です。
反応が早く、細かいニュアンスを表現しやすい弦で、クラシックのソロを弾くのにもおすすめです。
Thomastik/SUPERFLEXIBLE
芯線に縒り合せたスチール材(ロープコア)を使ったスティール弦です。
力強い音色が特徴で、反応が早く、軽く弾いてもよく鳴るので弾きやすいです。
比較的値段が安く、コストパフォーマンスに優れています。
D’Addario / Helicore Orchestra
ダダリオ社製のスティール弦です。
明るくクリアな音色で、バランス良く鳴りますが多少低音が弱いです。
レスポンスは早く、弾き心地が柔らかくて弾きやすいです。
比較的寿命が短いですがその分値段が安いのでトントンです。
D’Addario / Helicore Hybrid
クラシックの弓弾きとジャズなどのピチカートの両方に使えるハイブリッド版のスティール弦です。
上で紹介したヘリコアオーケストラと比べるとピチカートのサスティーンが長く、テンションが柔らかめで楽に弾くことができます。ジャズとクラシック両方演奏する方におすすめです。
D’Addario / Helicore Pizzicato
ジャズやポップスなど、ピチカートに特化したスティール弦です。
ヘリコアオーケストラと比べるとサスティーンが長めで、ピチカートの音が柔らかく良く伸びます。
テンションが柔らかめでジャズのベースソロなどの早いフレーズも弾きやすいです。
D’Addario / Prelude
ダダリオ社製のスティール弦です。
弦のテンションが柔らかめでレスポンスが早くて弾きやすい弦です。音が楽に出せるので初心者の方や小中学生のお子さんにもおすすめです。使える弦の中では比較的値段が安く、コストパフォーマンスにも優れています。
D’Addario / Zyex
ダダリオ社製のザイエックスは新素材がコアに使われたナイロン弦で、クリアで豊かな音色と、力強いサウンドが特徴です。弓弾きとピチカートどちらの奏法でもガット弦のような豊かなサウンドが得られ、ジャズ、クラシックどちらのジャンルでも使える弦です。
D’Addario / Kaplan
ダダリオ社製のカプランは比較的新しく開発されたスティール弦です。クリアで豊かな音色と、長めのサスティーンが特徴です。テンションは程良く、弓でもピチカートでも反応が早くて弾きやすいです。
ジャズ、クラシックのどちらでもマッチするサウンドです。
Pirastro / Chromcor
クロムコアは、シングルコア、シングルロープ構造のスティール弦です。
レスポンスが早く、明るくて歯切れの良い音色が特徴です。
テンションが強めで音量が出るので、クラシックのオーケストラや吹奏楽に向いています。
Pirastro / Obligato
オブリガートは定番のナイロン弦です。
ガット弦のような上品で豊かな音色です。
弓でもピチカートでも反応が早く、テンションが柔らかいので楽に演奏することができます。
スティール弦と比べると多少寿命が短いのがネックです。
Pirastro / Jazzer
ジャザーはジャズの演奏用に作られたスティール弦です。
ピチカートの歯切れが良く、サスティーンが長めなのでジャズのベースラインやソロが弾きやすいです。テンションもやや弱めで、左手のコントロールがしやすいです。
Pirastro / Permanent
パーマネントはロープコアのスティール弦です。輪郭がはっきりして、明るくて力強い音色です。オーケストラでの演奏に良く合います。
Pirastro / Eva Pirazzi
エヴァピラッツィはナイロン製で、テンションが柔らかく弾きやすい弦です。音の立ち上がりが早く、上品な音色で、クラシック、ジャズの両方で使えます。
Pirastro / Flexocor
フレクソコアは、クラシックでよく使われる弦で、太く甘い音色が特徴です。ピチカートのサスティーンは自然で、きれいに減衰するのでサウンドをコントロールしやすいです。クラシック、ジャズどちらでも使えます。
Pirastro / Original Flexocor
クラシックでよく使われる弦で、音色は甘くて太く、重厚な響きが心地よいです。ピチカートの音色は重く、きれいに減衰するのでコントロールしやすく、ジャズ、クラシックの両方で使えます。
Pirastro / Flexocor Deluxe
明るくて力強い音色が特徴の弦です。オリジナルフレクソコアとは音の傾向が違い、こちらの方が音色が明るく、サスティーンが長めです。ジャズ、クラシック両方使えます。テンションが柔らかく、楽に音量が出るので初心者の方にも扱いやすいです。
Pirastro / Flat-Chromesteel
フラットクロムスチールは、クラシックの演奏によく使われる弦で、音色は明るく、太くて甘い音色が特徴です。サスティーンは長めですが、自然に減衰するのでサウンドのコントロールがしやすいです。クラシック向きの弦とされていますが、クラシック、ジャズどちらにもおすすめです。
Pirastro / Original Flat-Chromesteel
オリジナルフラットクロムはクラシックでよく使われている弦です。太くて甘い、重厚な音色が特徴で、スティール弦の中ではオリジナルフレクソコアと並んで最上級の弦です。クラシック向きの弦とされていますが、サスティーンも自然で、コントロールしやすくクラシックとジャズ、どちらにもおすすめできます。値段が高いだけの価値がある弦です。
Pirastro / Passione
パッシオーネはスティールですが、ガットのサウンドに似せて作られた弦です。
弦のテンションが少し柔らかく、反応が早くて弾きやすいです。
アルコで弾くと柔らかくて温かい音色で、ソロからオーケストラまでこなせます。
また、ジャズのピチカートでも歯切れ良く、弾いていて気持ちの良い弦です。
Pirastro / Oliv
オリーブは羊腸の芯材に巻線を施し、ハンドメイドで丁寧に仕上げられたガット弦です。ガット弦特有の上品で美しい音を響かせます。テンションは弱く、スティール弦と比較すると弾き心地がだいぶ違います。音量は多少小さめですが、上品で柔らかい音色で、細かいニュアンスも表現しやすいです。最高のサウンドと弾き心地です。
Pirastro / Eudoxa
上で紹介したオリーブと同様巻きのガット弦ですが、オリーブと比べるとやや落ち着いた印象、柔らかく、しっとりと上品な音色です。
オイドクサやオリーブの様なガット弦はクラシックで使ってももちろん良いですが、豊かで歯切れの良いピチカートのサウンドも極上で、ジャズに使っても最高のサウンドを得ることができます。テンションが弱いのでソロで速いパッセージも楽に弾くことができます。
Pirastro / Chorda
バロック楽器に向けて作られている弦で、G線とD線は巻き線の無い生ガットの弦です。
ボールエンドが無いので自分で作らなければいけません。ガット弦のため、音量は小さめです。生ガットの弦は指が滑らないのでスライドがしにくく、工夫が必要になります。ベビーパウダーのような粉を弦につけると弾きやすくなります。
JARGAR
デンマークのメーカーであるヤーガーのスチール弦です。
明るく柔らかい音色が特徴で、テンションは弱めなので弾きやすいです。上品なサウンドがソロや小編成のアンサンブルに向いています。
LA BELLA / 7710N Black Nylon Tape Wound
ブラックナイロンにテープを巻いた特殊な構造の弦で、ジャズベーシストのロンカーターが使用していたことで有名です。ピチカートで弾くとアタックが強く、音がグーンと伸びます。弓で弾くとゴリゴリとした少し大味な音色なのでクラシックには使いにくいかもしれません。
LA BELLA / 7710T White Nylon Tape Wound
ジャズベーシストのロンカーターが開発に携わった弦で、ホワイトナイロンにテープが巻いてあります。上で紹介したオリジナルの7710Nと同様にジャズのピチカート向きの弦ですが、ブラックナイロンよりクリアなトーンが得られます。
まとめ
コントラバスの弦は、ジャズ用、クラシック用などと分けられることがあるのですが、良い弦はどちらに使っても良いです。ジャズ用とされている弦はサスティーンが長めで、テンションが柔らかいことが多いのですが、フラットクロムオリジナルなどの音が自然に減衰する弦はジャズのピチカートに良く合い、アンプに通した時も生音に近いニュアンスを出すことができるのでおすすめです。
コントラバスの弦は古くなっていくと音程が狂ってくるので、知らず知らずのうちに音感に悪い影響を与えます。ある程度使用したら新しいものと交換することをおすすめします。
以上、今回の記事参考にしてもらえたらうれしいです。
それでは、また。
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